世間が日本で初めて行われるワールドカップに向け、盛り上がりだしていたあの頃。
2002年の夏の入り口、僕、高2、18歳。 
僕はあの日初めて女の子と二人で遊んだ、


その頃僕は浜崎あゆみが好きだった、
好きといっても、グッズを買い漁り、アイドル的に信仰している感じじゃなくて、歌詞とか歌とか、そんな感じで、周りの友達はそうは思っていなかったし、結局実際同類だったけど。

そんな浜崎あゆみの人気が最も高かったころ、彼女のライブのチケットは宝くじのが当たるかの確率かとも思える様な争奪戦、それなのにふと申し込んだチケットの抽選の結果、そんな貴重な物を僕は幸運にも手に入れてしまった。
横浜アリーナ公演、アリーナ席、2枚。
特別に周りに行きたがっているやつも居なかったし、確実にその時の僕の心は寂しさに侵食されていた、僕はもう一枚のチケットを見知らぬ誰かに譲ることにした。

そして、あるファンサイトの掲示板にチケットが余っている旨
を書き込んだ、指定席だから一緒に見ようという意味も含めて、男だも女でも構わない、そんなの嘘。

数時間たつと、多くのメールが僕の元に届いていた。
まず1人目、是非行きたい、だけどもう別の公演に行っていてまだの人が居ればそちらの方を優先したいとの事。僕は躊躇しつつ、次の人と連絡してからの再度の連絡を約束した。

2人目、この人も同じく別の公演にも行っていた、同じようなやり取り、しかも遠く大阪在住、普通に考えればまた次の人へ行くはずだった、だけど、捕まってしまったんだ。
何故だろう?きっとそのメールの雰囲気が、その人が関西人だったというのもあるのだろうけどとても楽しげで、僕はそういう文面に対してあまりにも無防備だった、あっという間に僕は周りが見えなくなり、その「加藤祐美」という人に思わずチケットを譲る約束をたんだ。

それから幾通かのメールのやり取りをして、段々普通の会話もするようになった。
加藤祐美、22歳、AB型、ナイナイ矢部んちの近く、大学事務。何も知らない高校生が突然繋がった、僕とはかけ離れた大人の女性。
秘密を抱えて学校に行くのは面白かった、おめーらびっくりするだろうな、だなんてね。

そしてあと5日、4日と自分だけのカウントダウン、3・2・1・・・。